山中伸弥教授(iPS細胞研究所名誉所長)はいつからマラソンを?タイムは?寄付を募る理由は日本の科学の危機。


【徹子の部屋】11月9日に出演される山中伸弥iPS細胞研究所名誉所長。

言わずと知れた、iPS細胞における日本の第一人者ですが、実はマラソンが趣味だそうです。

でも、マラソンを走る理由は趣味だけではなく、もう1つ切実な理由があるそうです。


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山中伸弥教授のプロフィール

名前: 山中 伸弥(やまなか しんや)
生年月日: 1962年9月4日
出身地: 大阪府枚岡市
研究分野: 医学・再生医学・生物学・幹細胞生物学・発生生物学・発生工学
血液型: A型
主な業績: 人工多能性幹細胞(iPS細胞)の開発
趣味: マラソン
Wikipedia
 
【主な受賞歴】
ロベルト・コッホ賞(2008年)
ショウ賞(2008年)
ガードナー国際賞(2009年)
アルバート・ラスカー基礎医学研究賞(2009年)
恩賜賞・日本学士院賞(2010年)
京都賞先端技術部門(2010年)
バルザン賞(2010年)
ウルフ賞医学部門(2011年)
キング・ファイサル国際賞(2011年)
ミレニアム技術賞(2012年)
ノーベル生理学・医学賞(2012年) など

中学時代に柔道を始め、高校時代に二段を取得。

高校では友人と「枯山水」というバンドに熱中し、大学3年の時にはラグビーを始めたそうです。

Sola
ちょっと意外!
趣味がマラソンということもあるし、体を動かすことがお好きなのでしょうか。
でも、そこからなぜ研究者の道へ?

山中教授の父親は、ミシン部品を作る町工場「山中製作所」を経営していました。

仕事中に飛び散った金属片が骨に刺さったことで骨髄炎になってしまい、山中教授に医者になることを勧めたそうです。

山中教授自身も柔道やラグビーで10回以上骨折するなどケガが日常茶飯事だったため、当初は整形外科医になることを志していたのですが、他の医者と比べて技術面で不器用で「ジャマナカ」と言われることもあったそう。

そんな時、重症のリュウマチ患者を担当し、全身の関節が変形した姿にショックを受け、重症患者を救う手立てを研究するために研究者を志したとこのことです。

その後渡米し、iPS細胞の研究を始めます。

日本に帰国後もiPS細胞の研究は続きますが、ここで問題が。

日本は、アメリカと違い研究環境が整っていない
医学研究の世界でiPS細胞の有用性が認められていなかったため、周囲からの理解を得られない

そして、半分うつ状態になってしまいます。

そんな中、科学雑誌で見つけた奈良先端科学技術大学院大学の公募にダメもとで応募したところ、採用され、アメリカに似た研究環境で研究できるようになりました。

奈良先端大では、体調管理のために毎朝ジョギングを始めたそうです。

ここでiPS細胞の作製に成功し、2012年のノーベル生理学・医学賞受賞につながります。


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マラソンはいつから?

いつから?

奈良先端大では毎日校内をジョギングしていて、その後京都大学に移ってからも鴨川沿いを30分走っていた山中教授。

調べられたマラソンの記録はこちらです。

  大会名 記録
2012年 京都マラソン 4時間29分53秒
2013年 大阪マラソン 4時間16分38秒
2015年 京都マラソン 3時間57分31秒
2016年 京都マラソン 3時間44分台
2017年 京都マラソン 3時間27分45秒
2018年 別府大分毎日マラソン 3時間25分20秒
2020年 京都マラソン 3時間22分34秒
2022年 ランナーズフルマラソンチャレンジ2022 in 大阪 3時間23分8秒

ということで、多分2012年が初マラソンだったのではないかと思います。

写真 RUNNETより

2022年ランナーズフルマラソンチャレンジ2022 in 大阪

マラソンの実力は?

山中教授のマラソンのタイムは、どのくらいなのでしょうか?

年齢 アベレージタイム
20~49 4時間00分
50~54 4時間15分
55~59 4時間30分
60~64 4時間45分
65~69 5時間00分


2022年だと山中教授は60歳です。

上の表で見ると、そもそも3時間台のタイムが見当たらないので、かなり早いのではないでしょうか。

ここまでくると、すごすぎて、もはや趣味・体調管理という域を超えているような気がします。

Sola
でも、教授が走るのは、もう1つ大切な理由があるからなのです!


日本女子マラソンの先駆け、佐々木七恵さんについて

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マラソンを走るもう1つの理由

研究のために寄付を募る必要性

2012年の京都マラソンで、山中教授の完走を条件にクラウドファンディングによるiPS基金への寄付を呼びかけました。

日本の研究分野では比較的華やかに見えるiPS細胞の研究で、なぜ寄付を募る必要があるのでしょうか?


これは、日本の研究環境に原因があるようです


研究で成果を出すには、時間がかかります。

また、研究当初からその研究の有用性が分かっているわけでもありません。

たとえば、今や私たちの生活に欠かせない青色発光ダイオード。

これも、世界で青色の発光ダイオードの研究が始まってから赤﨑勇終身教授、天野浩教授が発明し、中村修二教授が実用化できるほどの明るさを実現するまでに30年という年月がかかっています。


が、今の日本では、

国の研究費の総額は増えている。

が!

期限付きで成果を求める「競争資金」であり、基礎研究に必要な「安定的なお金」は減っている!!!

たとえば、国は国立大学に運営のための資金として運営費交付金を配分していますが、昨年度までの15年で1440億円、割合にすると11%余りを削減し、その一方で、研究者が競争して獲得する「科研費」などの競争的資金を増やしたとのことです。
(NHK「ノーベル賞って、なんでえらいの?2019」)

グラフ引用元 文部科学省

Sola
2000年時点の金額が分かりませんが、中国の増え方がとんでもないことに…。
それに対して日本は微増ですね。



iPS細胞も、もともとはNAT1という将来なにになるかわからない遺伝子の研究(基礎研究)のなかで生まれたのだそうです。

有用かどうか分からない。

成果が出るまでに何十年かかるかも分からない。

そういう基礎研究の中から、「あ、これは!?」という発見が出てくる(かもしれない)。

だから、安定して基礎研究を続けられる環境はとても重要なのです。



でも、「〇年でいくら」的な期限付きで成果を求める競争資金の場合、そのような基礎研究を長期間続けることができません。

結果を出さなければ、資金が引きあげられてしまうからです。

iPS細胞研究所は、国から潤沢な研究資金が投入されている数少ない研究機関だそうです。

それでも、

【研究基金への山中伸弥所長による「ご支援のお願い」冒頭の一文】
iPS細胞実用化までの長い道のりを走る弊所の教職員は9割以上が非正規雇用です
長周新聞

「ウェークアップ!ぷらす」3月23日の放送に出演された際、山中教授は、iPS細胞は、パーキンソン病や重症虚血性心筋症などへの臨床応用もそう遠くないこと、「将来的には、かなりの病気がiPSで治療できる」ことを明らかにしました。

それだけ有用性が認められている研究でも、国の研究資金=研究所の財源のほとんどが期限付きのため、研究者の安定した雇用さえ確保できない状況なのだそうです。


だから、

山中教授はマラソンで寄付を募ったり、テレビ出演や取材を受けて自ら広告塔の役割を担っている、というよりも担わざるを得ない状況

だということなのでしょう。

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日本の科学の危機、将来日本人ノーベル賞受賞者は激減?!

そんな過酷な状況の中、日本では博士課程に進み、研究者となる人たちが減ってきています

文部化科学省によると、平成15年の約12000人をピークに、平成30年には約6000人にまで減っているそうです。

アメリカ・イギリス・ドイツ・フランスなどでは、博士課程になると学費の事実上の免除と毎月十分な額の給与が支払われるそうです。
日本では、授業料を収める必要があるうえ、ほぼ半数は無給とのこと。

このため日本では、研究しながら奨学金(返済義務あり=実質借金)やアルバイトで賄うしかないそうなのです。

もちろん、家庭によるでしょうが。

そして、研究者になっても、数年単位の契約雇用のケースが多い。

国立大学教員の場合、40歳未満の有期雇用が2007年には38.8%でしたが、2017年には64.2%まで増えたそうです。
とくに、研究支援者は8~9割が有期雇用とか。


さらに、研究環境も整っていないことが多いようです。

山中教授の体験ですが、たとえば研究に必要なネズミも、アメリカだと管理担当者がいるのに日本では研究者自身が管理しなければいけないそうです。
そのため、研究ではなく、ネズミの管理のために忙殺されたとか…。


これらのことから、日本の研究環境が諸外国よりも悪いというのは本当のようです。

不景気の日本で、この状況で、どれだけの情熱があれば研究者を志したり、続けたりできるのか…。



そしてその結果、論文の総数や、論文が国内外で引用された回数に影響が出ています。

(引用される回数が多いほど、優れていると評価される)

表引用元 科学技術・学術制作研究所


上の青い表が国・地域別の論文数。

下のオレンジの表が、「注目度の高い論文」として、ほかの論文に引用された回数が上位10%に入る論文数。


論文数はほぼ横ばいですが順位自体は下がっていて、引用された論文数の順位も数も下がって2018-2020年は12位

2019-2022年だと、引用された論文数の順位はさらに下がって、13位だそうです。


面白い調査があります。

東洋経済ONLINEによると、「ある国の論文数・ほかの研究者の論文に引用された論文数」と「その国のノーベル賞受賞者数」には関連があるようなのです。

また、ノーベル賞受賞の時期と、授賞理由となった研究の時期にはタイムラグがあり、日本人の場合は平均25年だそうです。

Sola
2006年に見つかったiPS細胞で2012年にノーベル賞を受賞というのは、驚異的な速さのようです。
それだけ注目度や影響が大きかったということでしょう。

ということは、今の日本の論文数・他の研究者の論文に引用された論文数で、25年後のノーベル賞受賞者数がある程度予測できることになります。

結果は…

自然科学系は、5年に1人受賞できるかどうか!!!
Sola
もちろんノーベル賞受賞が研究の目的ではないですが、この結果はさすがにショックですよね…

イメージでは、日本は科学技術で世界のトップを走っていると思っていたのですが、現実にはもはやそうではないようです…。

まさに、日本の科学の危機と言えるでしょう。


今さら聞けない「iPS細胞って何?」Solaが小学生に教えたiPS細胞

もはや、今さら

iPS細胞ってなぁに?

とは聞けない雰囲気ですよね(^^;


そして

人工多能性幹細胞(じんこうたのうせいかんさいぼう、英: induced pluripotent stem cells[注 2])は、体細胞へ4種類の遺伝子を導入することにより、ES細胞(胚性幹細胞)のように非常に多くの細胞に分化できる分化万能性 (pluripotency)[注 3]と、分裂増殖を経てもそれを維持できる自己複製能を持たせた細胞のこと。
Wikipedia

という説明を読んでも、「はぁ?! 」と思うだけ(^^;

そんな、分かったような分からないようなiPS細胞を、分かりやすく説明します!

なにしろ、知りたがりの小学生男子(←息子・笑)に教えた説明なので、分かりやすさには自信が!!


What is 「iPS細胞」?

人間の体は、目に見えない小さい「細胞」という粒が集まってできています。

細胞は、目になる細胞、心臓になる細胞、皮膚になる細胞…というように、一度役割が決まったら別の役割になることはできません。


たとえばここに卵があったとして、卵がパカッと割れてウサギが生まれたとします。

(あくまでもたとえば・笑)

ウサギは、当然猫にも犬にもなりません。

同じように、猫だってウサギにも犬にもならないし、犬もウサギや猫になりません。

だから、頭皮から生えてくるのは指ではなくてちゃんと髪の毛だし、血管の中を骨が流れるなんて事態にならずに済んでいるんです。

Sola
ていうか、そんなことになったら一大事ですよね。
役割が途中で変わってしまうことがなくて、よかったです。


ところが、皮膚や血液など、すでに役割が決まってその形に成長した(=分化済みの)細胞に特殊な遺伝子を入れて培養すると、分化する前の、これから筋肉や血液や臓器などいろいろな組織に分化できる「多能性幹細胞」という細胞になったんです。

これがiPS細胞です。


言ってみれば、ウサギに何か特別な薬を与えたら、ウサギにも犬にも猫にもなれる卵に戻っちゃった!みたいな。

めちゃくちゃチートですよね(いい意味で)。


自分の細胞からiPS細胞を作り、そのiPS細胞から作った臓器であれば、基本的には自分と同じもの。

拒絶反応が起こりにくいというメリットがあります。

よく、臓器の移植や骨髄移植とかで拒絶反応が問題になりますよね。

自分以外の細胞から作ったiPS細胞でも、拒絶反応を起こしにくくする方法があるようです。


ただもちろんデメリットもあって

培養する時に入れる特殊な遺伝子は発がんに関連する遺伝子なので、iPS細胞から作った組織を移植後にがんを発症するリスクがある
また、本人の細胞からiPS細胞を作り、必要な組織にして移植などの治療を始めるまでには約1年という時間が必要で、費用も3000万~1億円程度かかるそうです。

ただし、遺伝子を使わずにiPS細胞を作ったという報告があったり、発がんに関連する遺伝子以外の遺伝子を使ってiPS細胞を作ることにも成功しているそうです。

ES細胞とiPS細胞、何が違うの?

でも、そういうチート細胞なら、iPS細胞が作られる25年前に「ES細胞」という多機能性幹細胞が発見されています。

では

ES細胞とiPS細胞は何が違うの?


別名「胚性幹細胞」

卵子が受精し、着床できる状態に変化した受精卵のことを胚盤胞と言います。
この胚盤胞から取り出した細胞を特殊な条件で培養した細胞のことをES細胞と言います。
国際幹細胞普及機構

Sola
胎児になる少し前の状態から取り出した細胞を培養して作るんですね。
iPS細胞との違いは、材料になる細胞の違いということですね。
 

まだまだ役割が決まる前の状態なので、当然iPS細胞と同じく、いろいろな組織や臓器に分化することができます。

そして、ほぼ無限に増殖させることができるそうです。

いいことづくめに思えますが…。


人間になる可能性がある受精卵から作るため、倫理的な問題がある。
(国や宗教によって解釈は違う)

受精卵=ある女性の卵子とある男性の精子からできているので、iPS細胞とは違い、自分と同じではない
 
→ ES細胞から作った組織を移植した時に拒絶反応が起きてしまう。


ただし、技術的な問題は、ES細胞にしてもiPS細胞にしても、今後研究が進むことで解消していく可能性があります。

今後の研究に期待です!

同じように、技術だけでなく倫理的な難しさがある結合双生児

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まとめ

山中伸弥iPS細胞研究所名誉所長は、研究者であるだけでなく、趣味のマラソンのタイムもすごかた!!!

でも、趣味というだけではなく、もう1つ切実な理由があったのです。

それは、「日本の科学分野における危機」とも言える大きな問題でした。