【クレイジージャーニー】に、辺境ノンフィクション作家の高野秀行さんが出演されます。
高野さんといえば、「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをし、誰も書かない本を書く」というポリシーのもと、世界中を旅して執筆されています。
現地の言葉で現地の人たちとコミュニケーションをとるため、英語やフランス語などのメジャーな言語から、コンゴ(アフリカ)のリンガラ語やミャンマーの少数民族のワ語などの珍しい言語も含めて25以上の言語を学んで使ってきたそうです。
そんな高野さんの「語学を習得するコツ」をまとめてみました。
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高野秀行さんのプロフィール
人から強制されることが苦手で、大学→就職→そのまま定年という決まった生き方が嫌だったという高野さん。
自分の関心のある物事を自分のやり方で追い求めて解き明かしたい、という思いが、現在の活動の原動力だそうです。
だから、「そんなところに行くの?」「そんなことするの?」なことだらけなのですが、その際は現地の言葉を駆使して現地の人たちとコミュニケーションを深めるそうです。
今まで学んだ言語は25か国語以上。
現地の言葉を話すと、それがたとえ片言だったとしても、現地の人たちが驚いたり喜んだりするからだそうです。
機械翻訳の精度が上がっている今、なぜ語学が必要?
それなりの翻訳機を誰でも買える時代。
仕事などで海外とのやり取りがある場合でも、翻訳サイトを使えばOKです。
旅行中だって、下手したら日本語でOKだったりするし。
別に語学の勉強をしなくてもいいのでは?と思わなくもありません。
実際、英語の勉強は不要になる、という意見もあるようです。
でもたとえば、人とコミュニケーションをとる時、翻訳機を通して会話するのと直接会話するのと、どちらが話が弾むでしょうか?
日本に旅行に来た海外の人からその国の言葉で話しかけられた場合と、多少間違っていたとしても日本語で話しかけられた場合と、感じ方はどうでしょうか?
写真 photoAC
実際、高野さんもインタビューでこう言っています。
現地の言葉を話すと、場が盛り上がるんですよ。
これは早稲田大学の探検部だった20代のころ、アフリカ・コンゴの奥地で『ムベンべ』という謎の巨大生物を探すためにリンガラ語を学んだときから変わりません。
コンゴでは公用語としてフランス語が使われているので、意思疎通するにはフランス語で十分でした。
でも、片言でもリンガラ語を話すと、すごく驚かれたりウケたりしたんです。
外国人はみな、フランス語を使っていたからでしょう
(朝日新聞DIGITAL)
ただ情報交換するだけではなく相手と仲良くなるためには、相手の言葉で話す方が断然いいですよね。
語学の勉強法
高野さんにとっての語学は、相手とのコミュニケーションの手段です。
そのために重要なのは、流ちょうな美しくて正しい言葉を話す・聞き取ることではなく、旅先で地元の人と会話できるかどうか。
正しい文法・美しい発音ではなく、現地の人たちと同じ単語・言い回しができるようになることが目的です。
そのため
この記事でまとめている勉強法は、そういう超実践的な言語の勉強法です。
TOEICや英検、学校の試験などではあまり役に立たないかもしれません。
① 目的をはっきりさせる
いつも途中で挫折しちゃう。
やっぱりボクには英語は無理なのかも…。
語学の勉強でつまづく原因は、目的がはっきりしていないことかもしれません。
たとえば、料理の「り」の字も知らない人が一人暮らしするとします。
マンションの近くにはコンビニも定食屋もお惣菜を買える店もなにもなく。
近所に知り合いは誰もいない。
そういう状況だったら
モチベが続かないんだよね~
なんてことを言っている場合ではなく、目玉焼きとちぎったレタスでもなんでもいいので、とりあえず料理すると思います。
反対に、近所にコンビニもおいしい定食屋もあるし、なんなら実家が近くて、いつ行っても食事を作ってくれる。
帰りにおかずをたくさん持たせてくれる。
そういう状況だったら、無理に料理を頑張らないと思います。
ね?
って、なにが「ね?」なんだって感じですが、語学も同じです。
話さなければいけない危機的状況になった、または近い将来なることが分かっていたら、いやでも頑張るんですよ。
それか、どうしてもかなえたい夢があり、実現するには語学が必要だとしたら、自然に頑張れるじゃないですか。
というか、モチベーションが高い時って、周りから見るとすごく努力しているけれど本人は努力と感じていなかったり。
むしろ楽しんでいるだけだったり。
そういう状態に自分を持っていく、ということのようです。
高野さんも、インタビューでこのように言っています。
はじめから外国語に熱い愛があったわけではなく、正確には「なんとしてもフランス語を勉強しなければいけない」という切迫した状況でした。
コンゴの公用語はフランス語。公用語ができないと政府にさまざまな許可申請もできず、もちろん現地の人と会話もできない
怪獣探検のために言語習得はやむを得ない状況でした。ただ調べていくと、現地の人とやりとりするにはフランス語だけでなく現地の言葉リンガラ語も必要だと判明。
せっかくだから、コンゴの人たちと仲良くなりたいと思い、こちらも平行して学んでいきました。
(リクルート)
人間は基本的に面倒くさがりなので、どうしてもやらなければいけない、どうしてもやりたいことでなければサボって当たり前。
だから、「サボりたい」よりも「やりたい気持ち」・「やらなければいけない状況」が大きくなるようにする必要があるそうです。
そのためには目的をはっきりさせることが重要だそうです。
➁ ブリコラージュ学習法
おしゃれなブリ料理?
…なわけありません(^^;
文化人類学者のクロード・レヴィ=ストロースが1962年に発表した『野生の思考』で取り上げた概念。
フランス語で「ありあわせの道具、材料を用いて自分の手でモノをつくること」を意味し、日本語では「器用仕事」「日曜大工」と訳される。
ブリコラージュ学習法とは、高野さんが提唱する語学の勉強方法です。
ある言語を学ぶとき、まんべんなく網羅して学ぶのではなく、目的に特化して覚えて使うということだそうです。
世界中のあらゆる場所で、どんな人相手でもどんな内容でもどんとこい。
そんなことはネイティブだって無理です。
英語と一口に言っても、イギリス英語とアメリカ英語に分かれます。
さらに、多くの方言もあり。
ジャパニーズイングリッシュのように、英語圏ではない人の英語は発音も違います。
相手の年代によって、よく使う言葉や言い回しも違うかもしれません。
ということで、この3つをはっきりさせることが大事だそうです。
どこで
誰と
どんな会話をするのか
僕が25以上の言語の学習でやってきたのは、ほとんどブリコラージュ。
目的に合ったものを、今その場でできる方法をフル活用して行っていく。
適当にネイティブの人を見つけて習うんですが、目的にそった言葉を中心に学習していく。
例えば、コンゴでの怪獣ムベンベのリサーチなら、その調査に必要な分だけの語学をやればいい。
(文春オンライン)『英語』って漠然とし過ぎているんです。
あらゆる年齢層や性別の人と会話をするという設定は不可能です。
アメリカ人の子どもと、インド人のお年寄りの両方としゃべるには、使う言葉が違いすぎます。
いきなり道で出会ったネイティブと話せる必要はなくて、自分が話したい人と話ができればいいんです。
そうすると、会話をシミュレーションしやすいですよね。
(朝日新聞DIGITAL)
たとえば海外旅行に行くのなら、飛行場やホテル、レストランのスタッフと話します。
搭乗手続きやホテルのチェックイン・チェックアウト、注文やお会計でのやりとりがありますよね。
行きたい観光名所の地名とか、名物料理の固有名詞も覚えておく必要があります。
そういう必要なやり取りに特化して学ぶことが大切で、
「私の友達のまゆみさんは昨日赤い服を着ていた」
的なことを言えるようになる必要はないわけです。
高野さんの具体的な勉強法は、こちらです。
① 使いそうな会話の例文を作り
➁ その国の人に声を出して読んでもらったものを録音
③ 繰り返し発音練習する
コツは、できるだけ普段と同じスピード、口調で読んでもらうことと、現地の人が使う単語や言い回しにしてもらうことだそうです。
たとえば日本だとあいまいな言い回しをすることがありますが、ストレートに意思表示する国ではそういう言い方はしないですよね。
その国の普通の言い方にしてもらうといいそうです。
…ただ、こんな風にその国の人に音声データを作ってもらうのは、一般人には無理ですよね。
私たち一般人の場合は、よく使いそうな単語をピックアップし、シチュエーションごとに例文を作って何度も練習するくらいでしょうか(^^;
③ ノリと物腰も語学のうち
文法やことばの使い方のほか、発音、口調、話すときの態度、会話の進め方が含まれる
高野秀行著「語学の天才まで1億光年」より
お国柄…でしょうか。
控えめな言い方が好まれる国と、ストレートな言い方が好まれる国。
抑揚が大きめの国と、あまりない国。
ボディランゲージが大きな国と、あまりやらない国、など。
そういうものも、相手に合わせると自然ですよね!
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④ 語学の半分は相手側
語学力って、TOEFLとか英検のスコアではかれる、個人に宿っている能力だと思われていると思いますが、僕は違うと思います。
あくまでコミュニケーションを構成する要素の一つであって、『語学力』は話し手と受け手と半分ずつ持っているものではないでしょうか。
(朝日新聞DIGITAL)
たとえば単語が分からなくても、そこにその物があれば指させばOK。
相手がその単語を言ってくれたりします。
会話で言いたいことにぴったりの言い方が見つからない場合、回りくどく説明したりちょっと変な言い方だったりしても、伝わることも多いです。
相手も理解しようとしてくれるので。
日本テレビ系列の「世界の果てまでイッテQ」の人気コーナー「出川哲郎はじめてのおつかい」で披露される出川イングリッシュは最高の例ですよね。
でも、自分の力だけでしゃべらなくてもいいと思えば、ちょっと気楽になれるかも?
語学の勉強法まとめ
以上、語学を学ぶ目的をはっきりさせる、ブリコラージュ学習法、ノリと物腰、語学は会話の相手と半分この4つのポイントがありました。
後半2つはかなりメンタル寄りでしたが、どんなに覚えても使えなければ意味がないということで。
腹くくって、勇気を出して、使えるようになれたら素敵ですよね!
ちなみに、ここに書いた勉強法は、他のことにも使えそうな気がします。
まとめ
【クレイジージャーニー】に出演された高野秀行さんは、世界中を旅する際、現地の言葉で現地の人たちとコミュニケーションをとっています。
今まで25以上の言語を学んで、使ってきたそうです。
今回は、そんな高野さんの「語学を習得するコツ」をまとめてみました。
ポイントはこの4つのようです。
その言葉を話したい・話せるようにならなければいけない理由・目的をはっきりさせる
ブリコラージュ学習法:目的に沿ったシチュエーションのやり取りを集中して学習する
その国のノリと物腰に合わせる
相手も理解しようとしてくれるので、100%正しく話す必要はない!
英語に限らず、外国語を身につけたい方は参考にしてみてはいかがでしょうか?